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2009年02月26日(木) 
>>キク様
すごいアクロバットな話題転換ですね(笑)受験がんばってください!おなご同人誌は今の所出す予定はありません。

2009年02月24日(火) 

W(旧)さんからおなご話もらいましたありがとう!
イラストつけるの遅くなりそうなのでとりあえず先にこっちに展示しておきますね。
娘さんたちがきゃいきゃいしてるのはかーわいいですなあでれでれ(おっさん)

おなご燃風

肌を切るような風の冷たさは、燃神に無関係だった。

背を預けた大木の幹がみしりと音を立てた。葉の落ちた枝々がざわめき、強い風が前髪を撫で、燃えるかんざしの炎をなぶった。
燃神は口先でぷらぷらさせたキセルを構えると、意を決したように吸い込んだ。
眉をぎゅっと寄せて、口から煙を丸い輪にして吐き出す。
ぽわぽわと頼りなく立ち上る白い輪を切れ長の濡れたような瞳で見上げ、――途端にむせた。
「よおっし……けほっごほっ……」
涙目で口を抑え、木に縋り付く。キセルの煙を肺まで吸い込んでしまったのだ。ひとしきりぜいぜいと息をつくと、冷たい空気で体の中を洗って、やっとぐったりと座り込んだ。
「うええ、まずぅ〜」
燃神は太い木の根に倒れ込むようにキセル遊びの成果を見上げた。
燃神が目標とする「懐が深い粋でいなせな姐さん」像は、常に想像の中で、何故か朱のくちびるから吐き出されるけだるげな白煙をまとっているのである。
しかし燃神は煙草が苦手だ。
煙草が苦いのだ。そして煙いのだ。
キセルに刻み煙草を詰め、カッコつけて火を点ける。その後おもむろに吸い込んではむせる羽目になる。
濡神に目撃され、わざとらしくもおっとりと「あらぁ、かわいいわねぇ」と、世にも慈悲深く微笑まれた日にはその細い透けるほどに真っ白な首を捻ってやろうと本気で思ったものだ。慈母が泣くかもしれないからやらないけどあのアマ絶対に泣かす、とそのとき心に決めた。
懐の深さとやらを磨くのは後回しである。
目標の遠さが知れようというものだ。
とにかく冬の名残が強い今は、濡神が外に出てくることはない。
誰にも邪魔されずに、ささやかな練習を兼ねたキセル遊びに没頭できるいい機会なのだった。

「よし……いけっ!」
拳を握って見守る燃神の前で、ぽわんと広がる丸い煙の輪をびゅう、と吹き付けた風が瞬く間に掻き消した。
「あ」
上空から吹き付ける風はキセルの煙口から出る白い煙までさらっていってしまう。
「あああ!!やっと……やっと輪っか出来たってのに……!」
ことごとく邪魔をされ、眉をしかめる。
地面を蹴飛ばして立ち上がると木の下から走り出た。
「こらあー!何やってんのさあー!!」

枝の繁った潅木の下から出ると、見えない手で叩きつけられるようなむきだしの強風が燃神を襲った。思わず目を閉じる。
澄み渡る空が埃で曇っていた。
上衣の裾までバタバタと舞い上がって、なめらかな腹部をさらけ出したまま、燃神は空を睨んだ。
「埃が目に痛いっつうの…」
まだ朱を塗らない桃色のくちびるが呟く。

びゅうん、と頭の上を一際強い風が吹き抜いて、燃神の頭にどこからともなく飛んできた石が命中した。
ゴッ。
鈍い音を立てて、燃神は横倒しに転んだ。
びゅおおう、と低く唸るような風が倒れた頭の上を土埃を巻き上げながら通り過ぎる。
「ぅぐう……」
砂まみれの顔で身を起こした燃神が口の中に入った砂利を吐き捨て、ゆらりと立ち上がった。
怒りで頬が紅潮し、瞳は剣呑な光を孕む。
「ふっ、ざっけんなあー! 降りてこいコラァ!」
濡神あたりに聞かれたら極めて上品に当てこすられる言葉遣いと巻き舌で腹の底から叫ぶと、キセルを空に向かって投げつけた。
キセルは風の勢いに乗って埃の彼方に消え、
「……わぁん」
と遠くで間抜けな叫びが上がって風はぱったりと止んだ。同時に、風の力で上空にあった大小の石がばらばらと雹のように降り、再び燃神を地面に打ち倒した。
「うぅ……」

*****

「もー燃神ったらひどいよー」
「ひどいのはどっちなのさ!」
憮然とした顔でキセルを差し出したのは風神だった。
羽織の衣を頭から被り、そこから顔を半分出した燃神は口をへの字にしてキセルを受け取った。ボロボロの砂まみれ、泥まみれである。
熾火のように燃える瞳で睨まれ、地上に降りてきた風神が少し後ずさる。
「や、うん、ごめん! まっさか下に燃神がいるなんて思わなくってさ!」
風神の額の真ん中だけ真っ赤に腫れているのは、ちょうど額にキセルが命中したためだった。
風神はてへへ、と笑って額を撫でるが、つるりと薄く光沢を帯びた肌の中で、そこだけ異様に目立って痛々しい。
「それもだけど、そうじゃなくて! あたいが居ようと居まいと、コレはやり過ぎだろ!」
燃神が指さした先は、折れた灌木、ゴロゴロと無造作に落ちた岩石、なぎ倒された草花、無残な有様はまさに台風一過。
風神がはっと目を瞠る。
「えっ、誰がこんなことを! ……あう」
キセルが風神の脳天でスコーン、と小気味よい音を立てた。
「あんただろっ!」
「あ、そうか! あーうぅ……、ごめんなさい……」
しょんぼりと頭を垂れる風神の、しっぽのように流れる後ろ髪も反省したようにうなだれる。
その悄然とした姿に、燃神の長続きしない怒りは鎮火した。着火も早いが消火も早い。そして後には残らないのが燃神だ。
ちなみに先日、断神が、燃神は単純明快で大変結構ですね、と真顔で言ったが、これは褒め言葉である。
「しょーがないなァ……」
大げさにため息をつくと、燃神は羽織をばさばさと振って砂を振り落とした。
「……もういいよ。んで? 何してたんだい?」
ぴょん、と風神の髪の毛の先が跳ね上がる。本人と同じく、わかりやすい。

*****

ヨモギが生えているのが上から見えた、と風神は言うのだ。

「この時期にィ?」
燃神はガチッとキセルの吸口に歯を立てる。
風神は、強打された痛みが引かないのか、赤くなった額をさすりながら、ニコニコと笑顔を振りまいた。
燃神以上に単純明快な風神には、人をからかったりおちょくったりする能力が根本的に欠けている。
何かは見たのだろう。見間違いでなければ。
しかし、ヨモギ。どうでもいい。そんなものより白い輪っかを返してほしい。
「ぼくがさっき上を飛んでたときに、このあたりの何処かに見えた気がしたんだけど。探してみるとなかなか見つからなくってさ!」
まだ寒風吹きすさぶこの季節に、ヨモギは早すぎる。ヨモギは春真っ盛りに柔らかい新芽が生えてくるのを摘むものである。
至るところに雪が残っているのに、あるわけがない。
「冬だよ? ヨモギどころか、ふきのとうだってまだ眠ってるだろ」
「でも、ばーっと生えてるとこがホントにあったんだって」
風神は色の薄い大きな目を見開いて、膝のあたりで手のひらを広げてこんなにばーっとだよ?と空中から眼下に見えるヨモギの様を表現してみせた。屈託のない表情が少年のようだ。
「でも何でヨモギなのさ?」
「ぼく、ヨモギもち食べたくなったの」
「あっそ……」
「ヨモギがみつかったら、ちゃんと燃神にもおいしいヨモギもち作ってあげるからね!」
そう言いながら、満面の笑みの風神がふと考え込んだ。
「でもぼく、目はいいはずなんだけど、何で見つからないんだろう?」
燃神は思わず、拳一つ分低い位置にある風神の頭をぐりぐりと撫でた。
「多分、つうか絶対、あんたが飛ぶのが速すぎて見えなかったんだろ」
燃神は不満げに口を尖らす風神に噛んで含めるように言い聞かせた。燃神が目上面できる相手はそう居ない。目上面すればするだけ疲れるけれども。
「えー? 速く飛べば早くみつかるんじゃないのー?」
「早く飛べばそれだけたくさん見落とすだろーが! どうせ飛ぶのが面白くなって忘れてたー、とかそんなとこだろ」
素直にぎくりとしながら、風神は首を振った。
「違うって! ぼく、ヨモギを見つけたかっただけだもの! 頑張って飛んでたのに燃神ったらひどいよ!」
「ひどいわけないだろ! だから頑張れば頑張るほど見つかんないんだって!」
ぎゃあぎゃあ怒鳴り合ってもかみ合わない。燃神もムキになって、ズレゆく論点を正すものが誰もいないからだ。
「もー燃神なんていいもん」
とうとう風神は頬をぷくっと膨らませてそっぽを向いた。
「あたいもどうだっていいけどさ! そもそも、ヨモギなんてどこで見たのさ?」
「うーと、あっちかな?」
ふくれながらも風神が指をさした方向を見て、燃神はしばらく視線を彷徨わせた。
「燃神なんて、ふーんだ! さーて、探しに行っちゃうぞおー! 半時以内に見つけられたらヨモギもち十個!」
「そうじゃなくて! 風神! ちょっと待てっ、て!」
風神は素直なだけに拗ねたら頑固で手に負えない。燃神は慌てて手を伸ばして、空に駆け上がろうとした風神の髪の先を掴んで引っ張った。手を離すと後ろに無防備だった風神はたまらず地面に転がり落ちる。
「……っ痛ーいっ! さっきから何なんだよぅ。 そんなに引っ張ったらぼくハゲちゃうよ!」
「それくらいでハゲるかあ」!」
風神が目に涙を溜めて、燃神をきっと睨んだ。睨んだつもりだが眉を寄せた変な顔になっただけで、全く迫力がない。
「ホントにハゲたらどうするの!?」
「はああ! また生えるだろ!もし生えて来なかったらあたいが責任取ったるわ! とにかく、ついてきな!」
倍の勢いで怒鳴り返され、風神が驚いて目を丸くする。涙も引っ込んでしまった。燃神は憤懣やるかたないといった顔で、風神を見もせずに歩き出した。
売られた喧嘩は必ず買うのが燃神の身上だが、今回は乗せられたようで悔しい。しかも風神なんかに。
ふと歩みを緩めて振り返る。
「飛ばないで歩いてくるんだよ!」
あんた迷惑なんだから!と吐き捨てる燃神に風神は割と素直に頷いた。
「あ、うん」
実は結構仲は良いのである。

*****

「上からが駄目なら、歩いて探せばいいんだろ」
ざくざくと進む燃神を追いかけながら、風神の毛先がぴょこんと跳ねる。
「え? 燃神もつきあってくれるの!」
「あんた一人にしとくと、ヨモギが見つかる前にここら辺が全滅すっからさ」
すんなりした燃神の後姿は止まらない。たまに目印を探すように視線を巡らすだけで、目的地を知っているかのように、まっすぐに進んでいく。迷いがないその姿に、小声で自作の「ヨモギもちにささげる歌」をのんきに歌っていた風神は首を傾げた。
「ねーどこ行くか知ってるの?」
風神が声を掛けると、怒りの勢いのまま歩いていた燃神は、はたと気付いて何度か瞬きすると、風神の方を見た。感情はとうに収まっていた。
「あれ? あたい、心当たりあるって言ったっしょ?」
「聞いてない」
「そうだっけ? ヨモギは多分あのあたりだよ」と、燃神は足の向く方向をキセルでさした。
葉を落とした木々の向こう側に黒々とした姿をのぞかせているのは、大きな山だった。
「でも山の中じゃなかったよ?」
「うん、でも近くに温泉があるからね。多分、地面が温かくなってるところがあるから、そこならヨモギがもう生えててもおかしくないんじゃないかと思ってる」
「フーン?」
風神の生返事は何もわかっていないことを伝えていたが、とりあえず燃神はざくざくと歩を進めながら説明する。
「温かいとこは大体わかるけど、ヨモギの場所そのものはこの目で確かめないとあたいにも分かんない」
喜び勇んで飛んでいくかと思った風神も湿った枯葉の上を大人しく歩いている。
飛んでばかりいるから、だたてくてくと歩くのも楽しそうだった。

枯葉を蹴飛ばしながら、燃神は思わずにっこりと微笑んだ。
暇つぶしに季節外れのヨモギ摘みに、ついでに冬空の下の温泉も悪くないかもしれない。
物事を早く済ませてもしかたがない、と永遠に近い時間を持っている筆神たちは知っている。

誘うと風神が滅多にない真剣なまなざしで言った。
「ハゲにきくかなあ?」
燃神はいい気分でキセルに火をつけ、
――やっぱりむせたけれど、今度は風神と二人で笑った。


2009年02月13日(金) 

ごぶさたごぶさた。
今日から一週間ほどお手伝いに行ってきます。
帰ったら原稿期間なのですぐ更新再開…というわけにはいかなそうですが
w(旧)さんがおなご話書いてくれてるのでまたイラストつけてアップしたいです。
おなご燃神の鳥頭なこと!(笑)

快適さんの通販再開してます。現在はあちらをご利用いただいたほうが発送早いです。
よろしかったらご利用くださいませ。


2009年02月03日(火) 

ほったらかし続いててすみませんー;
しばらくはウォーミングアップがてら本館のほうを動かしてるので、いっそこっちは次のお手伝い明けまでお休みってことにしようかと思います。
絵板のほうは運転中ですので、よかったら投稿してサイトにぎわせてやってください★(人はそれを他力本願という)


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